第4節 地域の食文化の魅力を再発見する取組
四季折々の食材に恵まれた日本は、長い年月をかけて地域の伝統的な行事や作法と結び付いた食文化を形成してきました。
一方で、食生活の多様化に伴い、地域の郷土料理や伝統料理等の食文化が次世代に十分に継承されない傾向も見られることから、地域の食文化を継承していくためには、伝統的な郷土料理や食文化を支えてきた地域の食材等の特徴を理解し、伝えていくことが大切です。
家庭での継承が難しくなっている近年の状況を踏まえ、地域において、市町村や民間団体、農協、生協等が、子供たちや子育て世代を始めとする地域の消費者を対象に、郷土料理づくり教室の開催や大豆の種まきから行う味噌づくり、食品工場見学等を実施し、地域の食文化や地場産物等への関心を高める取組を行っています。
そのほか、地域の伝統野菜や米等の植付けから収穫までの一連の農作業体験を通じて農作業の楽しさや苦労等を学ぶことにより、地域の食や食文化への理解が深まることから、このような農業体験の機会の提供が全国で行われています。
農林水産省では、令和2(2020)年度も引き続き、これら全国各地で行われている郷土料理や伝統野菜を始めとする伝統的食材等の魅力の再発見につながる取組を、地方公共団体、農林漁業者、食品関連事業者等が連携し、継続して実施できるよう支援しました。
事例:地域の食文化の継承(第35回国民文化祭・みやざき2020)
文化庁では、都道府県等と共催で、観光やまちづくり、国際交流、福祉、教育、産業などの施策と有機的に連携しつつ、地域の文化資源等の特色を生かした文化の祭典として、「国民文化祭」を昭和61(1986)年から毎年開催しています。
令和2(2020)年度に予定されていた「第35回国民文化祭・みやざき2020」は、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和3(2021)年7月3日~10月17日(107日間)に延期することとし、令和2(2020)年度はコロナ対策等を実施した上で「国文祭・芸文祭みやざき2020 さきがけプログラム」として一部事業を先行実施しました。本プログラムにおいて、宮崎の豊かな食材や古くから伝わる食文化にフォーカスを当てた以下のような事業を実施し、地域の食文化の魅力を再認識する機会となりました。
〇サチタビ(幸旅)
宮崎の海の幸・山の幸を味わうツアー。参加者は、食の現場で活躍する人々を通じ、食文化の継承や新しい食文化の創造に取り組む人々の情熱を実際に体感しました。
・「家族みんなで大漁!串間(くしま)・海の幸ツアー」(10月)
自然豊かな宮崎県串間市(くしまし)で、定置網漁等を通じて食や人、命のつながりを体験し、串間市(くしまし)の魅力を満喫するツアー。
・「都農(つの)ワイン~ルーツを学んで味わい楽しむツアー」(11月)
ブドウづくりに向かないとされた土地(宮崎県都農町(つのちょう))で自然と向き合い、国際的に評価されるワインを作り上げた歴史について学んで、飲んで、楽しむツアー。
〇ひなたのめぐみ大学校
宮崎の食にまつわる歴史や生活文化等について、講話や体験等を通じて学ぶことができるツアー。参加者は、世界農業遺産にも認定された「高千穂郷(たかちほごう)・椎葉山(しいばやま)エリア」で、人々の暮らしを支えた文化を学びました。
・「森の恵み~命を頂く山里の狩猟文化」(11月)
日本三大秘境の村のひとつとして知られ、豊かな山と美しい川に囲まれた宮崎県椎葉村(しいばそん)において育まれてきた狩猟文化等を通じ、「豊かに暮らす」ことの大切さを学ぶツアー。
・「みやざき究極の蕎麦をもとめて」(11月)
世界農業遺産に登録された高千穂郷(たかちほごう)・椎葉山(しいばやま)地域の5町村(高千穂町(たかちほちょう)、椎葉村(しいばそん)、諸塚村(もろつかそん)、日之影町(ひのかげちょう)、五ヶ瀬町(ごかせちょう))をめぐり、高千穂町(たかちほちょう)・椎葉村(しいばそん)では焼き畑や高冷地を利用した在来蕎麦、諸塚村(もろつかそん)では出汁の決め手となる乾燥シイタケ、日之影町(ひのかげちょう)では薬味用のゆず胡椒、そして五ヶ瀬町(ごかせちょう)では名水百選の湧水などの至高の蕎麦の材料を集めて「究極の蕎麦づくり」を体験するツアー。
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